はい、Blackmagic RAWのカメラ内でのフレーム内圧縮であっても、厳密には画質は低下します。
Blackmagic RAWの圧縮の仕組みと、なぜ画質が低下するのか、その上でなぜ高品質と言えるのかを詳しく見ていきましょう。
 

Blackmagic RAWの圧縮の仕組み

Blackmagic RAWは、RAWデータとしての柔軟性を保ちつつ、ファイルサイズを大幅に削減するために、いくつかの高度な技術を使っています。
 

1. 部分的なデモザイク処理（Debayering）のカメラ内での実行:

   • 従来の多くのRAWフォーマットは、センサーが捉えたベイヤー配列のデータをそのまま記録し、デモザイク処理（色情報を補完してRGB画像にするプロセス）はポストプロダクションで行われます。
   • Blackmagic RAWは、このデモザイク処理の一部をカメラ内で高速に実行します。これにより、データ量を減らしつつ、ポストプロダクションでの処理負荷を軽減し、高速な再生・編集を可能にしています。
   • この部分的なデモザイク処理の際に、ごくわずかな情報が最適化（言い換えれば間引き）される可能性があります。

2. 高度なロッシー圧縮アルゴリズム:

   • Blackmagic RAWは、人間の視覚が認識しにくい情報（例えば、細かいノイズや冗長なデータ）をターゲットにして、非常に効率的にデータを削除するロッシー圧縮（非可逆圧縮）アルゴリズムを採用しています。
   • 「ロッシー」である以上、元の情報が100%完全に復元されるわけではありません。つまり、技術的には情報が失われています。

 

なぜ「画質が低下する」と言えるのか？

• 情報の不可逆性: ロッシー圧縮の宿命として、圧縮されたデータから元の非圧縮の状態を完全に再現することはできません。削除された情報は元に戻せないため、厳密な意味では画質は低下しています。
• 圧縮率による差:
  • **圧縮率が高くなるほど（例: 12:1 や Q5）、ファイルサイズは小さくなりますが、より多くの情報が間引かれるため、視覚的な画質低下が顕著になる可能性があります。**特に、細かいディテールや複雑なテクスチャ、高速な動きのあるシーンでは、圧縮アーティファクト（ノイズ、ブロック化など）が発生しやすくなります。